Gネットではお世話になりました。盲導犬についてほとんど何も知らない私たちを歓迎してくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。日帰りで、ばたばたとしてしまいましたが、ご親切に対応してくださり、ありがとうございました。
さて、発表の後いくつかの質問をいただきましたが、はっきりとお答えできなかったものもありました。ここに改めて、
当日の質疑応答の際にいただいた質問と、それに対する解答を掲載いたします。
ご参考となれば幸いです。また、ご不明な点があれば遠慮なく
メールフォームよりお問い合わせください。
Q1: 資料に鉄軌道とか軌道線という単語が出てきますが、軌道とは何ですか?
A1: 軌道とは、具体的には路面電車やモノレール、リニアモーターカーなどです。鉄道の仲間ですが、その法的な位置付けが鉄道とは少し違います。そして、鉄道と軌道を総称して鉄軌道と呼びます。あまり厳密な言葉の意味にこだわらないかぎり、鉄道と一緒だと思っていただいてかまいません。
Q2: どうすればホームドアの設置をスピーディーに進められると思いますか?
A2: ホームドアを設置するには様々な技術的なハードルがあります。(詳しくは資料の「8. ホームドア設置のデメリットと今後の課題」をご覧ください。)
ですから、一朝一夕に設置できることは期待しにくいです。
とはいえ、これら技術的なハードルの低い路線、言わば、お金さえあればホームドアの設置も不可能ではない路線もいくつかあります。
これら
設置しやすい路線から設置してもらう、といった形で導入を要望していく
というのが現実的かと思います。その点については「10. 今後の視覚障害団体による鉄道事業者への賢い働きかけ」でも少し触れています。
また、ホームドアの導入が、多少でも鉄道事業者にとって利潤につながることをアピールしていくと効果的だと思います。
そんな狙いもあって、資料にはホームドアが有効な広告媒体であることなど、鉄道事業者にとって利益になるという情報を複数含めました。
Q3: 点字ブロックはホームの縁から何センチくらいの場所に設置してあるのですか。また、点字ブロックの形状にもいろいろありますが、点字ブロックの規格は法律で定められているのですか?
A3: 点字ブロックはホームの縁から80センチ以上のところに幅30センチまたは40センチに渡って連続して設置することが
「公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガイドライン」
で謳われています。
点字ブロックの規格については、法律ではコントラストに配慮することなどが書かれていますが、具体的な記述はありません。
点字ブロックについての具体的な記述はJis規格で定められています。
また、プラットホームに設置すべき警告ブロックとして、
「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン 追補版」
には、線路側が正方形の点状ブロック、ホーム内側が一本の線ブロックになった
「プラットホーム縁端警告用内方表示ブロック」
の記載があります。これは文字で説明するより画像をご覧いただいた方が良いと思います。
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してください。
しかしこれらすべては、罰則規定のある、拘束力を持った法律ではなく、設置するのが望ましいといった位置付けになっているのが現状です。
Q4: 実際に、横浜市営地下鉄で訓練中に危うく盲導犬が挟まれそうになった場面がありました。発車の際の安全確認は十分になされているのでしょうか?
A4: 名目上、運転席には安全を確認するためのモニターがあり、運転士は安全確認を行なっていることになっています。しかし、
2005年11月29日には、可動柵が設置されている福岡市営地下鉄で、運転士がドアを開け忘れ、慌てて開閉スイッチのオンとオフを繰り返したため、可動柵が3秒で閉まり、客が乗り降りできなかったという事故がありました。
運転士が確実な安全確認をしていたなら、このような事故にはならなかったかもしれません。
ホームドアの導入と共に、ワンマン化や駅員の人員削減も急速に行なわれるであろうことを考えると、
開閉時の安全がどれほど保障されているのか、ホームドア設置による新たなリスクをどのように克服していけるか、非常に重要な点だと思います。
個人的には、ワンマン化や駅員の削減事態が方向性として間違っているとは思いませんが、人員の削減をするにしても、少しずつ、段階的に減らしていくのが望ましいと思います。
横浜市営地下鉄では12月から本格的にワンマン化が実施されます。
当面の間は駅員の急激な削減などは行なわず、可動柵設置後の様子を見守ってほしいものです。
また、盲導犬がホームドアに挟まれそうになったとのことですが、障害物を検知するセンサーが盲導犬にも反応する程度の感度なのかについては私も分かりません。もしかするとこれは、鉄道事業者と今後話し合っていくべき課題かもしれません。
Q5: ビデオを見ていて思ったのですが、中国の地下鉄での事故のことなどを考えると、駆け込み乗車に失敗した人が二枚のドアの間に挟まれないようにするなら、列車側のドアよりもホーム側のドアが先に閉まった方が良いと思うのですが、実際のところはどうですか?
A5: ある資料によると、上海地下鉄の混雑率は相当のようです。実際のところ、日本では混雑率の高い路線にはホームドアは設置されていないというのが実情です。
また、乗車率があまりにも高い路線にホームドアを設置した場合、ホーム側のドアが先に閉まったとしても、列車に乗っている客が溢れてなかなか列車側のドアが閉まらないということがあるかもしれません。
「8: ホームドア設置のデメリットと今後の課題」
に挙げた
「ホーム柵設置促進に関する検討報告書」
の中で、
今後の課題として、
「#2 混雑線区での安全確認が可能なホーム柵の開発」
と書かれているのは、そういう意味だと思います。
この他に、階段の横のホームの幅に関するご質問もいただきました。この点については調査中ですので、後日改めて解答させてください。
なお、上記は、質疑応答の内容を私のうろ覚えの範囲内でまとめたものです。「私がしたかった質問の趣旨とは違う」などのご意見などございましたら、
メールフォームより遠慮なくお問い合わせください。可能な範囲で調査し、お答えできればと思います。